Takumu

ミッションのTakumuのレビュー・感想・評価

ミッション(1986年製作の映画)
4.8
神のご意志ね…。

なんて便利な言葉なんだろう。18世紀半ば、ジェレミー・アイアンズ演じるガブリエル神父はイエズス会の伝道師として南米ウルグアイの原住民への布教を行いに来ていた。前半では、ロバート・デ・ニーロ演じる奴隷商人のメンドーサが弟殺しの罪を背負いながらガブリエル神父に洗礼を受けるまでをイグアスの滝という壮大な自然と原住民との交流を通して美しく描いてる。後半では、枢機卿が法王の使いとして彼の地へ赴き、ポルトガルとスペインの勢力争いに終止符を打つためにある決定を下す。

村で枢機卿がガブリエル神父へ放った『神のご意志』であるというセリフ。直後のガブリエル神父の顔は複雑だった。村で暮らしていた神父4人は、枢機卿の命令には従わず村人を守るための行動を取ることに決めた。

クリップした映画から見る作品を決めることが多いのですが、この映画はなぜクリップしたか全く覚えていませんでした。けど、推察するしこのジャケ写でしょう。馬鹿でかい滝に十字架を背負った人が落ちていっている、構図が美しくまた謎めいていて非常にに目を惹かれます。わかりやすく人が大きく加工されているけど、実際はもっと人が小さく滝がでかい。「The Mission」というタイトルも異彩を放っている。

Missionという単語は、みんなが想像する“任務”、“使命”のほかに“使節団”や“伝導団体の〜”という意味でも使われているそう。作中でも多く台詞に登場しており、テーマにピッタリの題名だと思います。

音楽をエンニオ・モリコーネが務めており、切なくも力強くて壮大な劇伴で映画の質を底上げしている。特に前半は、セリフが少なく耳を音楽に集中させるようになっており、その美しさを堪能できる。テーマやロケーション、演技、音楽どれもとっても一級品で、間違いなくおすすめの一作。

必要悪など存在しない。
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