ささ

グッド・ウィル・ハンティング/旅立ちのささのレビュー・感想・評価

4.6
1年10ヶ月越しに二度目の鑑賞。

ほんとに。前に見たときは映画ってものをよく知らなかったし、芸術のジャンルとして舐めてた。オフにしすぎてた。
それわかってたからなんかこの映画はもう一度観ないといけない気がしてた。もう一度観たら一度目で愚かにも素通りしたものを拾ってこれるってなぜかわかってたから。
で、やっぱり観て大正解だった。

史上最高のヒューマンドラマでしょう。ツタヤでジャンル別に分かれてる棚で、「ドラマ」のところは「その他」なんじゃないかってくらいいろんなものがごった返している印象があるが
この映画こそ真の「ドラマ」だ。

ほんとのほんとにベンアフレックとマッドデイモンが考えたのか?この脚本、会話。すごすぎる。本当に。
映画史10年分の名言、名シーンを二時間にパッキングしたような作品。

知識の引用で、奥深い人間を装う馬鹿者のネタを明かして追っ払うシーンのかっこよさ、そして自分が怒られているかのように胸に突き刺さってくる感じは他にはない。ショーペンハウアーを思い出す。読書家は思考をサボっているだけの馬鹿者だ。マッドデイモンが「おれは自分で考えている」といってのける。まさに。
しかしマッドデイモンも蓋を開ければおんなじ。同族嫌悪だったのか?いやそれもあるが、「自分を見せる怖さ」がもっと大切なポイント。よく見せるために自分を隠して他の知識を引用することと、自分を見せるのを恐れるあまりそれしか出来ないのでは天と地ほど違う。
またここで、一次情報と二次情報の違いについて語っているのも大きなポイント。「教会の匂いを知ってるのか。」
だってさ、観光地の情報とかウンチクとか、すごい知ってて話してるくせにそこへ行ったことがないやつなんていやじゃん。そしたら大して知らないけど、そこに10年住んでた人に話聞きたい。前者の内容は本に書いてある。俺たちが聞きたいのは「お前の言葉」。前者には語るべき「自分の言葉」がない。
だから来年、「自分の言葉」を集める。

またウィルと教授の関係はまさしくアマデウスにおけるモーツァルトとサリエリの関係。そこにも一つの別のドラマがある。
ウィルとスカイラーの間にもドラマがある。「『愛してない』といって」「愛してない」この会話は目に焼き付いていた。
ウィルとチャックの間にももちろん。みんな大好き、あの車に寄りかかっての宝くじのくだりは名シーン中の名シーン。チャックになりたいと心から思った。あれこそが友情。

ウィルが映画内で関わる人全てが作り上げたgood ウィル ハンティング。

人間には人間の魂を救う力がある。本当の意味で語り合うことさえできれば。
そんなことがわかる映画。
親友に見せたい。
ささ

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