ピクサーによるディズニーの原点回帰を行う意欲作。
ディズニーといえば、言わずもがなミッキーマウスだ。かくいう、ミッキーマウスは周知の通り、ネズミの擬人化に他ならない。ネズミという人間が忌み嫌う存在、不衛生的な存在をウォルト・ディズニーは世界のアイコンに仕立て上げた。
ウォルト・ディズニーがいかなる理由でネズミをキャラクターに仕上げたか諸説あるが、その中でも彼の生まれ育ったイリノイ州が理由としてあげられる。イリノイ州は砂嵐など環境が劣悪で住みやすい土地では決してなかった。そんな自然を征することで、克服すると考えたのだろう。故に、ディズニーランドの衛生面は異常なほどに美しい。その中で、ネズミという人間の環境を乱すものも克服すると考えた。少し強引だが、そんな人間が征するというのがミッキーの固定にあると私は個人的に考える。
そんなネズミを征するために産まれたミッキーマウスと考えると本作のあり方は感慨深い。
今回はネズミが人間の胃袋を掴む。人間と同等の立場に回復していくまでの話だからだ。ミッキーマウスの私が考えるあり方と大きく逆転する。
ネズミの在りた方を改めて見つめ直すという、ディズニーの原点回帰を行う意義深い作品であると考える。
