三樹夫

やくざ絶唱の三樹夫のレビュー・感想・評価

やくざ絶唱(1970年製作の映画)
3.2
異父妹のことを異常に好きなヤクザ勝新と、異父兄から離れたいというので同情はするもののやたら強情を張り要領の悪い行動ばかりとる異父妹大谷直子の妹もの映画。この異父兄妹の二人によって周りが死ぬほ迷惑する映画であるが、周りの人間も大概碌でもない奴しかいないという、何気に登場人物全員が不快な作品となっている。異父妹大谷直子はファム・ファタール的ポジションであり、碌でもない男がゴキブリホイホイみたいに寄ってきては、勝新大谷直子の暗黒異父兄妹により地獄を見ることになる。大概勝新が悪いのだが、異常者シスコンの勝新と大谷直子とが異父兄妹なことにより変な化学反応が起きており、蟻地獄みたいな効果が発揮され周りはとんでもなく迷惑することになる。

異父兄妹の近親相姦的感情よりも、男の都合のいい聖女像が妹にパンパンに詰め込まれておりそれが一番キモい。大谷直子は汚れなき聖女みたいな象徴的な妹であり、女性は聖女かビッチかしかない二分法みたいな女性観が映画に漂っている。男の都合のいいというか妄想的な女性観が結構ドン引きする作品であり、それが反映された劇中の大谷直子が取る行動がイチイチ何やってんだこいつとなる。大概勝新が悪いのだが、大谷直子の強情のせいで周りがえらい目に遭っているという面も少なからずあり、本人はそのことに無自覚というのでファム・ファタール感がある。
殴り合いの擬斗がやたらスピーディーで、というか勝新のアクションがキレキレなので見応えがある。バカでかいSEも劇中の擬斗を際立たせる。
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