シャチ状球体

アクエリアスのシャチ状球体のレビュー・感想・評価

アクエリアス(1986年製作の映画)
3.3
ミケーレ・ソアヴィのスラッシャー映画。
『デモンズ3』も設定が似ているので、閉鎖空間での幻想的な殺人が撮りたい監督なのかと思ったら、たまたまそうなっただけらしい。

冒頭、早速の殺人と見せかけた舞台劇のシーンは芸術的でセンスに溢れている。
本筋は穴が多く、初診でしかも足首の捻挫を見てくれるメンタルクリニックがあるわけないし、基本的に入院患者の病棟は別の建物にあることが多いし、精神的な病を患う人を殺人鬼として描いているのは差別的だ。

人間ドラマが薄い分ライティングや色鮮やかな美術デザイン、テンポの速さで世界観を構築しており、恐らく90分に収めるために説明的なシーンはカットしたかそもそも撮影していないと思われる(撮るだけの内容が無かっただけかも)。
この、即席的で無駄のない(無駄じゃない部分もない)作りが引き算の面白さを演出していて、印象に残る映像を幾つも見せてくれるのが魅力。

特典映像のインタビューによると、主要キャストの中には役者が本業ではない人も何人か含まれているということで、そういった端々からにじみ出る良い意味での手作り感がリピーターを生んでいる原因かもしれない。
シャチ状球体

シャチ状球体