“ミュージカルの映画”、Vol.7。
今年は梅雨の訪れが早いらしい。
だから『雨傘』、、、というわけではない。
フランス勢も忘れずに。1963年の映画。
今でも活躍してるカトリーヌドヌーブ。
綺麗過ぎる。劇中では17〜20歳ぐらいの設定だけど、もはや、纏ってる雰囲気がその領域を超えている。実際は20歳をちょっと過ぎた頃なのかな、スゴい空気感。
まさに、“銀幕のスター”と言って良い。
ただ、ギイの叔母の看病をするマドレーヌ。
個人的にはこちらも綺麗。
初登場の他愛無い挨拶のシーンからただならぬ雰囲気。
そりゃ、、、まぁ、そうなるよ。納得。
ミュージカル映画、今まではちょいちょい劇中に急に歌が入ってきて、その歌がなかったら成り立たないのがミュージカル、と思ってた。
それが、本作は、、、ずっと歌ってる。
普通のセリフは1つもない。
いきなり「車、治せるかぁい♪」みたいに始まる。
波があって、とかではなく、ずっと、初めから終わりまで、本当に1曲の歌かのように止むことはない。
でも、これ、何かフランス語の芸術的な雰囲気もあるから成り立ってる気もしないでもない。
「ジュテーム」
「メルシー」
「ボンソワール」
代表的なフランス語のワードがここまで連呼されて、とにかく当時の時代背景と相まった燃えるようで切ない“愛”の形、表現がなされる。
性的描写はほぼない。
言葉と仕草と軽いスキンシップで“愛”を歌に乗せて伝える。
ただそれだけで、どれだけ燃え上がってるか、相手のことが片時も頭から離れないか、離れ離れで辛いか、、、そのエモーショナルな部分がスゴく伝導してる。
最終的には“愛”と“現実”と“タイミング”みたいな、現代にも通じる結末にはなっていくのだが、それぞれのそこに行き着くまでの思い、葛藤、勇気、、、そして、情。
みたいな、普遍的な腫れた惚れたの慕情、哀愁が染み染み、そして情熱的に感じられる作品。
傘屋も、宝石屋も、ギイの家も、どこもかしこも色鮮やかでおしゃれで可愛い。
ギイ、お前、自分の部屋に暖炉あるのかよ!
叔母の部屋のドア、ガラス窓がついてる!
傘屋、壁紙がまったく雨のイメージと真逆!
みたいな。
とにかく、おしゃれ。プリティ。
とにかくずっと歌ってる。
正直ここまでそっちに全振りした映画は初めてだったので、ちょっと違和感は感じざるを得ない。
けれど、作品としては90分ぐらいだし、フランスの言語や街並みの美しさもあり、情熱もあり、何か観てるこっちの気持ちの昂りも感じる作品だった。