もこもも

シェルブールの雨傘のもこもものレビュー・感想・評価

シェルブールの雨傘(1963年製作の映画)
4.2
結婚を誓い合ったジェヌヴィエーヴとギイの兵役によって引き裂かれる悲恋を描いたミュージカル作品

あまりにも美しい...
OPから一目惚れしちゃった...
美しく切なくお洒落で可愛く、
ストーリーも哀愁漂うものの美しくて
愛と幸せについての余韻が残る...
全セリフが歌の構成になっていて
楽しい曲も悲しい曲も含めて
全てがお洒落で美しくて大好き
街並みも色使いも部屋も小物も
衣装も全部お洒落で可愛かったから
『ロシュフォールの恋人』と同じくらい
この世界の中に入りたくて仕方がなかった
カトリーヌ・ドヌーヴが圧倒的に美しい

「あなた幸せ?」
『とても幸せだよ』

ラストは際立って美しいな...
なんで誰も不幸になってないのに
こんなに切ない気持ちにさせられるんやろ
もしまだ2人愛し合っていたとしても、
家族があるから戻ることはできないし
地に足つけて生きないといけない
そう思ってしまう人間が切なくて歯痒くて...
でも最後の最後に幸せそうに子供と戯れる
ギイは確かに幸せなんやなって温かくもなった

⚫︎第一部 出発
愛し合っているのに兵役によって引き裂かれる
ジェヌヴィエーヴとギイを描いた第一部

「いつまでも愛し合うのね」

真っ青のギイの部屋とか
真っ赤なダンスホールとか
ピンクの傘屋とか色使いが素敵
ダンスホールからの帰り道でお互いの
愛を確かめ合うシーン好きやった
真っ直ぐに愛し合う2人がとっても素敵

「僕は死ぬまで君を愛してる」

兵役なんて辛いなぁ...
2年という月日は大きいもん
取り残されるジェヌヴィエーヴや
ギイの叔母さんも切ないよね
別れの電車のシーンが美しくて悲しかった

⚫︎第二部 不在
ギイが兵役中のジェヌヴィエーヴに
訪れる変化を描いた第二部

ギイから手紙が来ないことや
妊娠によって心身共に疲れていた
ジェヌヴィエーヴに宝石店の男性が告白
宝石店の男が悪い男やったら良かったのに
たった2年やけどされど2年で、
待ち続ける2年はやっぱり辛いのかな
妊娠したことを知っても躊躇いもせずに
愛してるって言う宝石店の男性は素敵やけど...

「彼のためなら死んでもいいと思ってたのに
 どうして死んでしまわなかったのかしら」

宝石店の男性と結婚することを
選んだジェヌヴィエーヴ
愛する人を待ち続ける日々
愛する人と会うことができない日々
そんな日々が苦しくて辛かったからか
愛ではなく条件で選んでしまったからか...
幸せなはずやのにどこか切なさそうに見える


⚫︎第三部 帰還
兵役から帰還したギイがジェヌヴィエーヴの
結婚のことを知って以降を描いた第三部

そりゃギイは痛いよね、苦しいよね...
兵役後は荒れて仕事を辞めて
唯一の家族でいる叔母を失った
ギイがとっても痛々しかった
マドレーヌがほんまにいい子で可愛い

「とても幸せなの、でも怖くもあるわ」

本当に自分を愛してるのか
そりゃアントワーヌは不安に思うよね
兵役が終わった直後はもちろん
1人でいたくないが故やったやろうけど、
いつも側にいてくれるマドレーヌを
大切に想うようになるのは自然よね

何年も経ったある冬の日に
ギイとジェヌヴィエーヴが再会して
少しの言葉を交わして去っていくラスト
余韻も美しさもただただ素晴らしかった
もこもも

もこもも