YasujiOshiba

シェルブールの雨傘のYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

シェルブールの雨傘(1963年製作の映画)
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読書の師匠でフランス語の先生が、このフランス語が聴きやすいという。ミュージカルだからね、と。あれ、この有名な作品、ぼくは見たのか見てないのか。しかも、監督ジャック・ドゥミの妻がアニエス・ヴァルダだというではないか。あ、ヴァルダの夫はこの映画の監督なんだ。

ところが、その肝心の映画のことが思い出せない。それがNetflixにアップされているのを知って、おもわずクリック。冒頭からグッと引き込まれて、最後まで一気に見る。なんと、この映画を見た気になっていたのに、じつは見ていなかったことがよおくわかった。

だって見てたら覚えているはず。セリフを全部歌っている不自然さが自然に聞こえてくる90分。リアリズムのように始まりながら、メロディーラインに乗せられるフランス語のセリフが、非常に聞き取りやすいというのは、イタリア語をやったからだけど、シェルブール雨傘店のカラフルな色使いと、ドヌーヴ/ジュヌヴィエーヴのブロンドとカラフルな衣装が良い。カラフルなのは衣装だけではなく部屋の壁紙。ブルーにピンクにほとんどドールハウス状態。このカラフルなドールハウス風の雨傘屋に対して、白で統一されたギー/ニーノ・カステルヌオーヴォの自動車修理工場、そして同じく白で統一されたエッソのスタンド。いやはや、カラフルなブルジョワ思考と、清楚でシンプルな労働者の白というわけか。

ニーノ・カステルヌオーヴォはイタリアの名優。ストレーレルのミラノ・ピッコロ座の出身でジェルミの『刑事』でデビュー。ヴィスコンティの『若者のすべて』にも出てるんだな。

それにしてもこの映画のドヌーヴはすごい。いやもう、見てと言うしかない。本人は、吹き替えられて怒っているみたいだけど、もしかしたらその怒りもあって、歌も歌うようになったのかな。たしか彼女、歌うよね?
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