三鷹

蝿の王の三鷹のレビュー・感想・評価

蝿の王(1990年製作の映画)
3.5
Wゴールディングの小説の映画化。タイトルはとても有名で読んだことのない私ですら知っていた。面白そうなので初めて手に取る。戦時下、疎開の為に少年たちを乗せた飛行機が事故に遭い海に墜落。幸いにも孤島に辿り着いた少年24人が救助を待ちながら彼らは彼らなりのルールを決め秩序を形成していく。リーダーを決め、役割を決め…ということろまでは統制をはかる年長者の少年達がいろいろとぶつかり合いながらも「群れ」を率いるために懸命になる姿として描かれる。
やがて「群れ」は分裂の兆しを見せはじめ、命さえも脅かす対立の構造を作る。
まだ年端もいかない未熟な精神の少年達は次第に「権力」や「所有」、「支配」に対する欲望を芽生えさせていき、そのさまはごくシンプルな人間の業を描いているようで苦々しい。
話は前編にわたり控えめな映像で作られているため、少年たちのサバイバル映画と言っても今どきのテンポがよく適度に刺激的な映像に慣れてしまっている若めの年齢層には今一つ物足りなさを感じるかもしれない。テーマは「サバイバル」ではないので読み違うと拍子抜けしてしまいそうな作品ではある。
余談だが漂流者と化しているので当然と言えば当然、少年たちが殆ど半裸でありまた性器も見えるシーンもあるが、「これってDVD持ってたら児童ポルノに引っかからんか?」とか余計なこと考えてしまいました。法律は難しい…
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