このレビューはネタバレを含みます
ガスヴァンサント監督の作品は好き。
とくに、この映画だとオープニングのキャラクター紹介のところの色褪せたホームビデオ感のある、映像のトーンと編集がとてもいい。
ブレまくっているし、絵が決まっているわけではないのに、なぜか沁みてくるこの感覚はとても個人的なものなのかもしれない。とにかく好みなのだ。
そして、同じくエンドクレジットもいい。
さて、この映画、ドラッグストアを襲って、ドラッグを手に入れるヤンキー、ギャング、不良たちの物語であるのだけれど、予想に反して?、彼らが破滅して終わるのではなく、破滅して、主人公が普通の仕事で普通の部屋で暮らすところまで続く。
ギャングものでは、自分が知っている限りあまりない展開に正直驚いた。
何か問題があって、ギャングを解散しようとして、ダメになる。事故や殺し合いに発展してそこで終わる。みたいなイメージを持っていたのだけれど、主人公がドリルで穴を開けているところまで見れるだなんて。
なんというか、人間の幅の広さというか、あまりにも大きく変わる可能性を示唆していて、独特の味わいがある。
カメラとしては、物語が大きく動く犬、帽子のジンクスの話をしている時の、カメラのほぼ全てがカンテッド(意図的に傾けられたアングル)で撮影されていて、音楽も相まって、もうダメなんだろうとどんどんと信じさせられる。
そこからは、どんどんと不幸へ転がっていき、病院を襲うのに失敗し、相棒の彼女がオーバードーズで死んでしまう。
そこに、宿泊していたモーテルで、警察の会合が行われ、もう何もかもが嫌になってしまう。そして、足を洗う。
予言は成就してしまった。