Yuichi

この世界の片隅にのYuichiのネタバレレビュー・内容・結末

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

原作の圧倒的な世界観とその温かさを、しっかりと映像に移植できているところに感動する。

その軸となるのは、やはり、すずさんの声を担当したのんの演技力か。もちろん、作画の美しさ、アニメーションの丁寧さは前提として。

戦争が進んでいくなか、多くのことが普通じゃなくなり、誰もがおかしくなっていく中、すずだけは、普通でい続ける。それがどれだけ大変なことかは、今の時代を生きている自分たちには想像もできない。

それでも、戦争の奥には、語られもしない、見向きもされなかった、生活があり、そこには悔しさもあり、戦争にも国にも殴られたアザだけを抱えて生きるしかなかった人たちがいた。

最後の1人になるまで戦うといったじゃないか、ここにまだ5人いるだろ、というすずの叫びは、戦争に勝ちたい、続けたいという意味ではなく、そのために我慢して、耐え忍んできたこと、失ったものたちへの思い全てを踏み躙られた気がしたからだろう。

すずが、戦後幸せな生活を、それこそ普通の生活を送れたことを願うばかり。
Yuichi

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