Omizu

西瓜のOmizuのレビュー・感想・評価

西瓜(2005年製作の映画)
3.8
【第55回ベルリン映画祭 芸術貢献賞他全3冠】
『愛情萬歳』ツァイ・ミンリャン監督作品。ベルリン映画祭コンペに出品され、芸術貢献賞、国際映画批評家連盟賞、アルフレッド・バウアー賞の3冠を達成した。

なんだこれ。ツァイ・ミンリャンの中でも飛び抜けて変な映画では。タイトル通り西瓜が常に登場する性をめぐるヒューマンドラマ。そしてミュージカルでもある。この通りなんだけど自分でも何言っているか分からない。

これだけよく分からない映画なのに不思議と退屈することなく見られてしまうのは流石ミンリャン。おもしろい、と一言では表せない。自分でも理解できない感情が渦巻く作品。

軸としてはリー・カンション演じるAV男優とある女性の恋模様を綴っている。のだが、挿入されるミュージカルシーン、過激な性描写などが相まって異様な雰囲気に包まれている。

ミンリャンらしいキマった画面が素晴らしい。ミュージカルシーンもちょいダサなのも含めてよかった。

人間の性というもののままならなさをそのまま表現していると言えるかな。性欲、愛情、恋愛とどれだけ言葉を変えようともそれは人間の本能。まるで西瓜がその象徴であるのようにひっきりなしに登場する。

これだけ変な映画も珍しい。そのくらいの狂気に取り憑かれた一作だが、台湾では興行的にヒットしたらしい。台湾人すごいね。ミンリャン節全開の興味深い作品だった。
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