ちゃりお

ランボー 最後の戦場のちゃりおのネタバレレビュー・内容・結末

ランボー 最後の戦場(2008年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

『ランボー』(1982)で雑なランボー像が破壊されて、『2』(1985)で社会派イメージが完全に定着し、『3』(1988)で雑なランボー像に一番近づき、『最後の戦場』(2008)でこれまでデフォルメされていた殺人が克明に描かれて訳が分からなくなった。

『ランボー』(1982)から一貫しているように、このシリーズはプロパガンダだ。悪逆非道を尽くす悪役を立て、ランボーにそれを殺させる。『3』(1988)までは敵を殺す葛藤やストッパーなどは皆無に近かった。

しかし『最後の戦場』では2つのストッパーが登場する。いかなる殺人をも認めないキリスト教系NGOと克明に描かれる殺人の描写だ。

この2つのストッパーを持ってしてもランボーの殺人は止まらなかった。キリスト者は石を手に取り自ら殺人を犯し、人間が肉の塊になる描写をランボーは気にも留めない。

結論として、これはどうしようもなく暴力を肯定してしまっている。プロパガンダはこの作品にきて完成してしまった。

生まれた作品を否定することはできない。表現されたものを正当でないと目を瞑ることはできない。鑑賞者はあるがままを受け入れるのみである。この作品はそれとして存在して良いものなのである。

そして、その後の解釈や考察は私たちの自由なのだ。だが一方でこの作品の次回作である『ラストブラッド』にこの作品とは別の結末を望んでしまう自分も一方にはいることを否定できない