magic227

冒険者たちのmagic227のネタバレレビュー・内容・結末

冒険者たち(1967年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

この映画の事を語る時は、言いたい事があり過ぎて何時も悩んでしまう。よく「青春映画の傑作」という言われ方をするが、実はこの作品からは眩しいような若さや躍動感は感じられない。人は成長するに従って夢を一つずつ捨てていくのだとすれば、この作品で描かれているのは、青春期を過ぎたのにまだ夢を捨てられず、必死にそれにしがみつく者たちの滑稽さと悲哀だろう。案の定、夢は打ち砕かれて無様な姿をさらす事になるのだが、それでも彼等は再び立ち上がり、新たな夢を追い始める。そんな敗れざる者たちを、監督のロベルト・アンリコは美しい風景の中、幾ばくかのシンパシーを込めて描いていくのである。出演はパイロットのマヌーにアラン・ドロン、カーエンジニアのローランにリノ・ヴァンチュラ、そして二人から愛される芸術家レティシアにジョアンナ・シムカスの3人。美しいコンゴの海で彼等の夢は叶うのだが、それは彼等が否応無く大人になってしまう瞬間でもあった。その直後から悲劇は容赦なく彼等を襲い始める。クライマックスの舞台となるのはラ・ロシェルというフランスの港町、その沖合に浮かぶ要塞島。余りにも美しい風景の中で、早逝の天才、フランソワ・ド・ルーベの憂いを帯びた美しいメロディが大人になってしまった悲しみを包み込む。 世の中は永遠に夢を見続けようとする者の存在を許さない。だが、それ故にスクリーンで笑う彼等の姿は僕等を引きつけてやまないのだ。
magic227

magic227