垂直落下式サミング

ハード・プレイの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

ハード・プレイ(1992年製作の映画)
3.8
ストリートバスケで出会った二人が大金の懸かった賭けに挑むスポーツ映画。原題は『White Men Can't Jump(白人は跳べない)』という挑発的なものだ。
主演二人のバスケスキルが高く、演者の体技が見物になっている堅実なスポーツ映画。監督がスポーツ選手出身というだけあって、選手の葛藤はドラマチックに、試合シーンなんかはダイナミックに撮られていた。
私は『ナチュラルボーンキラーズ』が大嫌いなのでウディ・ハレルソンがすかした顔をする映画は基本受け付けないのだが、この映画のダメ男キャラはなかなか好感が持てる。“跳べる黒人”ウェズリー・スナイプスとのバディ感も良い。
全編が中坊の部室のような雰囲気に包まれながらストーリーが進んで行き、軽口を吐きあっては大口を開けて笑う体育会系バカたちが仲間内で醸し出す心地好いバイブスを感じられ暖かい気分になれる。
スナイプス家のリビングで主人公たちが口汚く罵り合っている最中に、テレビのスポーツ中継でNBA選手のスーパープレーが炸裂すると、口論をやめてそこにいる全員が子供のようにブラウン管に釘付けになるシーンが可愛くて好きだな。どいつもこいつも小狡くてダメな人間だけど、コイツら全員“バスケが好き”ということだけは共通している。どんなに口が悪くて下品でも、そこが愛おしくて憎めない。
終盤はかなり現実離れした展開になっていくのだがこの映画は突拍子もないハッピーエンドがよく似合う。