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ストレイト・ストーリーのtorumanのレビュー・感想・評価

ストレイト・ストーリー(1999年製作の映画)
4.0
デヴィッド・リンチらしくないハートウォーミングな良作です。

冒頭のアンジェロ・バダラメンティの美しい音楽が流れる冒頭は、星空の美しさも相まって不穏な感じがします。
(リンチですから😅)
しかし、それは危惧でした。(残念?)
話が進むにつれて音楽も映像も暖かさが溢れ出します。

ストレイトはアイオワ州に住む79歳の老人。
ある時、昔から仲違いしている兄が倒れたとの知らせを受け、およそ560km先の兄の家に向かうことに。
自動車免許が無いので、時速8km!のトラクターでの無謀な一人旅に出ます。

道を走るトラクターを映す〜夏空をゆったりと映す〜再びトラクターを写すとまだ目の前を走っている(遅そっ💦)
映像だけで語るうまい演出です。

広大な農地と収穫風景
地平線から見える朝焼けと朝焼け
瞬く星空
ストレイトの道程の風景がしっかりと心に焼き付く映像です。
ストレイトとそれぞれ出会う人との交流も同じです。
家出した女の子、自転車競技の人々、消防訓練の近所の人達etc…皆良い人😊
一期一会の人々との会話が観客の心に染み入ってきます。

年寄りばかりの田舎町。
リンチらしい描写がささやかながら楽しめます。
・昔ながらのマニュアル車。
けれど運転技術が…半クラしすぎ運転😅
・動かなくなったトラクターに怒りのムチならず、鉛玉をくらえ!🔫
・1週間に1回、鹿を自動車で轢いてしまう女性(鹿は好きなのに)🦌

作品の核になる3人の演技が素晴らしいです。
リチャード・ファーンズワースの地の様な自然体の演技!
腰が悪いので、そっとトラクターから降りるその仕草(分かる💦)
目だけで語るハリー・ディーン・スタントの演技!
ラストシーンだけの出演ですが、しっかりと場を攫っていきます。
シシー・スぺイセックの吃音気味の心に傷を負った演技!
繊細で過去の出来事もほんのりと感じさせます。

デヴィッド・リンチらしくないという理由だけで、観ていなかった作品(2年前に初観賞)でしたが、もっと早く観てれば…と後悔しました。
誰が観ても楽しめる門戸の広い作品。
お薦めです!!
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