このレビューはネタバレを含みます
主人公のエンジェルを見ていたら、学生時代さんざんな目に遭わされた大嘘つきの友達と重なってしまって嫌悪感しかなかった。それなのに、もう数回観ている。
一目惚れした男性の家に自ら押しかけ、肖像画を描かせ、借金の肩代わりを申し出て愛の告白からのプロポーズ…
始終イタすぎる哀れな女性を見るのが同じ女性として痛快なのかもしれない。ハマったと言ってもいい。
50年代の映画のような合成、悪趣味なインテリアや衣裳、映像から醸し出されるキッチュな雰囲気もいつのまにかクセになってしまったようだ。
最後、洗練された佇まいのアンジェリカを目の前にしてエンジェルは何を感じたのだろう。アンジェリカこそ、エンジェルが少女の頃から描いていた夢をすべて現実で手にしていた女性なのだろう。
追記:
同監督の「スイミング・プール」のように、もっと注意深く観ればどこからが主人公の虚構でどこからが現実なのか分かるかもしれない。何か映像の中にヒントがありそうだ。オゾン監督ならそういう仕掛けを散りばめているに違いない。