あかつか

ゴジラのあかつかのレビュー・感想・評価

ゴジラ(1984年製作の映画)
4.0
律儀に1作目から順に見ていたのだが、次の「エビラ」という字面を見た瞬間にややその気が失せ、1984年版に浮気をしました。

米国版ガッズィーラが公開されたときに「ゴジラは反核映画なのに、ハリウッドでは単なる怪獣映画にされた」的なコメントが少なからず見受けられたと思うのだが、マジでどの口が言うねん。

設定は、第一作目でのゴジラ登場&オキシジェン・デストロイヤーから30年後の日本。多分エビラとかモスラとかキングコングとかミニラとかガバラとかヘドラとかメガロとかガイガンとかメカゴジラとかハッピー産業の熊山さんとかもいなかったことになっていると思われる世界。勝手に想像するに、「まぁあれはあれでいい思い出だけど、仕切り直し」の一作。

今回、長く忘れられていた「ゴジラは生きた核兵器」「ゴジラを作り出した人間のほうがバケモノ」という大前提が復活。そして30年ぶりに銀座を訪れて再び破壊するゴジラ。よっぽど嫌いなのな。

もはや戦後ではなくジャパン・アズ・ナンバーワンな時代なので、ゴジラより高いビルがあり、新幹線とのツーショットがあり、日米ソの会談シーンなんかもある。首相は小林桂樹。米ソと渡り合ってるふうの描かれ方が逆に虚しい。そのほかの閣僚に金子信雄、加藤武、小沢栄太郎などなど豪華だけどポンコツっぽい面々で楽しい。

それでもやっぱりゴジラに立ち向かうのは政治家ではなく科学者。いざというとき政治家が頼りにならないというのは、敗戦によって日本人のDNAに埋め込まれたんだと思う。戦争に負けるということは、そういうことなのかもしれない。

と、まあまあ楽しいのだが、難を言うならばゴジラの目に生気を感じない。なんか、ビリヤードの玉みたい。大仏も人形も目が命なのだから、もう少し気合い入れてほしいわね。

あと、江本孟紀みたいな記者がいるなと思ったら、江本孟紀だった。ちゃんとサラリーマンしてた。「デスクがアホやから」とか言って欲しかったけど。
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