くりふ

美女と野獣のくりふのレビュー・感想・評価

美女と野獣(1991年製作の映画)
3.5
【愛の鋳型】

いま古い資料など整理中で、昔のDVDなどが発掘されており…これも出てきた一本。

公開時、ワケあり美女との旅行先で見た思い入れある一品。が、流石に思い出補正は随分解けた。これはカナリ無理矢理な物語で、本作が放つ魅力は、半分以上が楽曲の力だと思った。

3D版の感想を随分前、先に投稿していたが、“口当たりのよい歪さ”との感覚をはじめ、概ね同じ。が、それでも後味に差が出ているので、記しておきます。

3D版感想【愛の納期】
https://filmarks.com/movies/27197/reviews/132331995

ディズニーには無意識にでも作ってしまった、ディズニープリンセスという鋳型があり、ディズニー特有の愛の鋳型もあって、そこに嵌まるように物語が組まれていると思う。

野獣という人物はシンプルでわかり易い一方、ベルは謎の女だ。

変人発明家の父に育てられ、ムラ社会から離れ独り育ったらしいのに、王族?であった野獣より、マナーやダンスが身についていたのはナゼ?

そして、ムラを出て世界を冒険したいと本気で歌い上げるなら、父親と向き合うことは必須。でも彼女って要は、ほわんと夢見るだけなんだよね。結果的に、白馬の王子待ち。

この辺りは、当時のディズプリ鋳型に依るものではと。

で、冒険どころか監禁されて、たまたま監禁主にダッシュで惚れたから、冒険ヌキのままあの結末へ…。そして、それはハッピーエバーアフターだと断言される。

このゴールに向けチューニングされた人物が、ベルなんだよね。結局は、専業主婦万歳。

前半、監禁なんてしながら、(自分が人間に戻るため)愛を芽生えさせんと策略する周囲が、自分の鬼畜行為に気づいておらずオモロイんだけど、逆に言えば、恋愛感情なんていい加減だから、騙してでても愛が生まれりゃ結果オーライってコトだよね。

多分これは原作の時代当時、愛ヌキで結婚させられたろう多数の女子に、ボーモン夫人が生き抜く知恵として物語に込めたモノじゃないか?…それが現代にも効いてしまっている。

きっと野獣みたいな男が当たり前に居て、当たり前に結婚しなきゃいけなかったのでは?

某団体による、合同結婚式も連想しちゃうけど…でも、愛が生まれないこともあるからね!

テーマソング始め、アラン・メンケンによる楽曲は変わらず素晴らしい!一方、“Be Our Guest”の再見で思ったが、かつてのバズビー・バークレーはやはり凄かったんだ。万華鏡ショットを始め、ここでは絵だったものが、実写の想像力で遥かに飛び越えられていた。

あ、そういや公開当時のワケあり美女はベルについて…美女かなあ?とご不満そうでした。

<2024.1.14記>
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