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ヤンヤン 夏の想い出のclementineのレビュー・感想・評価

ヤンヤン 夏の想い出(2000年製作の映画)
4.3
2000年公開のエドワード・ヤンの遺作
と言ってもそれから7年後の新作撮影途中に亡くなっている

台北ストーリー('85),恐怖分子('86),牯嶺街少年殺人事件('91)
などの代表作からしばらく経ったものであり、時代の変化にさらされても独自の作品を作れるのか、という興味があった
古いものは独特の空気を纏っているので、古いというだけで良く見えてしまうこともある

結果から言えば、この映画は素晴らしいものだった
上にあげた過去作のようにその時代の生活および起こる事件を切り取ったものとは少し違う
印象的なカットも以前に比べると影を潜めている
もっと大きなテーマが底に流れているかのように感じるし
言ってしまえば、俗っぽく一般的な映画のコンテクストに近づいたようにも感じる

けどもなんだろう…
少なくともこの時点での彼の集大成なのではないだろうか
ヤンが生きてきて、その間に蓄積されたものがにじみ出ているように感じるのだ

劇中では日本の様子もよく現れる
プロデューサーにも日本人がクレジットされている(もしかするとスポンサーやコーディネーター的な役割かもしれないが)
そして…イッセー尾形が素晴らしい演技を見せてくれる

温かいお茶を用意して、ゆったりとした気持ちで見たら
より一層楽しめそうだ
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