青春の乱痴気騒ぎな宙に浮いた感覚が暴走していくような危うさ。
そろそろリバイバルがある相米慎二監督のこちらを見てみた。
まず本作はクソ田舎の中学校を舞台にした青春群像劇になっており、いつのまにか台風が近づき学校に残った生徒たちが乱痴気騒ぎを起こすヘンテコさが秀逸だ。
いやはや一体何を見たのかよくわからないほど何かよくわからない謎、ストーリーラインがたいして無く中学生たちのやらかしを詰め込みつつ80年代ポップスで踊り散らかす映像が長回しによって映されていくシネマティックな映像の数々よ。
同じく80年代の学生たちを映した黒沢清"ドレミファ娘の血は騒ぐ"を思い出すバキバキの映像美と長回しの妙、だからかやけにヨーロッパ風の映画作家が香る邦画っぽく無さが良い感じ。
それと相米慎二監督は変わった演出が有名らしくその効果が知らんが中学生たち一人一人のフレッシュな演技が良くて、でも素人っぽさは全然無い不思議。ビジュアル的にもかっこいいだけど、この監督は演出面にもすごいこだわりがあるキューブリックタイプの監督なんだろうか、けっこう作家性が強そうな謎に心に残る感じ。あとヌーヴェルヴァーグっぽくラストがスパッと衝撃的に締めるのも実は忘れられない。