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グローイング・アップの一人旅のレビュー・感想・評価

グローイング・アップ(1978年製作の映画)
4.0
ボアズ・デヴィッドソン監督作。

1950年代のイスラエル、テルアビブを舞台に、高校生のベンジー、ボビー、ヒューイの仲良し三人組の日常と恋を描いた青春コメディ。

世にも珍しいイスラエル製青春コメディの人気作で、シリーズ化もされている。「イスラエル=性に厳しい」という勝手なイメージがあったが、そんなことは全然なかった。お色気全開の演出が特徴で、モザイク加工された過激シーンまである。

“誰のアソコが一番デカいんだ?”という素朴な疑問から、同級生全員でチン長測定を始めるシーンがくだらな過ぎて笑える。いじめられっ子の陰キャラのアソコが打ち立てた新記録に一同唖然!チン長測定はアメリカで製作された『ポーキーズ』でも同様の演出が見られたが、製作年は本作が数年前。マネをしたとしたらそれは『ポーキーズ』の方になる。

野獣のように淫らな年上女に誘惑される三人。アップに映し出される女のお尻。心臓バクバク&アソコドクドクで一人ずつお相手してもらう。と、そこへ女の恋人が帰ってきて...壮絶な修羅場が待ち受ける!

高圧的で感じの悪いオババ娼婦にありったけの金を払って相手をしてもらったかと思えば、翌日には三人揃って“アソコが痒い”。三人ともども変な病気をうつされた模様。水につければ治る、という何の根拠もない迷信を信じて仲良くプールに浸かるアホ三人。やっぱり症状は改善されず焦って薬局に駆け込むが、受付がまさかの女。アソコが痒くてたまんないんで薬をください...の一言が恥ずかしくて言えずにモジモジする三人。「お前が言えよ!」「いや、お前が言えよ!」ってダチョウ倶楽部か!

そんなちょっぴりエッチでお下劣な演出が魅力的な作品だが、“思春期のほろ苦い恋”の顛末は、まさに初心な少年を精神的にグローイング・アップさせる。前半のエッチ描写が嘘のように、後半は親友の彼女に惚れたベンジーが示す精一杯のやさしさ・男らしさと、その先に待ち受けるあまりにも切ない結末が描かれる。

そして、全編に渡って流れ続けるオールディーズも印象的。曲数がとにかく多くて、場面にマッチした音楽をきちんと選定して流している感じではない。ただ単純に聞かせたい曲を聞いてもらおうという意図でひたすら流される。世代ではないので知らない曲ばかりなのだが、「ロリーポップ」「ケ・セラ・セラ」「ボラーレ」など知っている曲もちらほら。
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