煙草と甘いコーヒー

クレイマー、クレイマーの煙草と甘いコーヒーのネタバレレビュー・内容・結末

クレイマー、クレイマー(1979年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

マイレージマイライフに続き、懐かしそうな映画が見たいという精神状態が続いていたので見ることに。

見た記憶が曖昧だったが、フレンチトーストを作るくだりで見たのが3回目であることに気づく。2回目を見たときに、フレンチトーストのシーンを見たことがあることに気付いたのを覚えていた。

メリル・ストリープが奥さん役だったことに初めて気付く(役者の名前をなかなか覚えられないのがコンプレックス)。ビッグリトルライズで、DV夫の母親役で見たときにその演技の上手さで名前も覚えられていたので気付けた。改めてその演技の上手さに脱帽したのと、この演技に2回目を見た自分がさほど感銘を受けていないことに情けなくもあり、悲しくもあり。

そして子供役のジャスティン・ヘンリーも見事だった。病院のシーンや、父親への反抗的な態度などなど、なかなかの名演技だ。

この感想を書くにあたり、公開日をチェックしたが、1980年という自分が生まれたころに公開されていたんだと、その古さに感嘆。

世界的にもまだまだ女性は家庭にいて、家事・育児、というのが当たり前の時代。

その時代の女性たちは、ジョアンナのことをどう見ていたのだろう。

母親としてあり得ない(怒)

と見る人が多かったのではないだろうか。

しかし、映画が進むにつれ、ジョアンナが再び会いに来た時、そして親権を主張したとき、多くの女性がテッドの味方についていたのではないだろうか。なぜなら、テッドの奮闘ぶりと、子供を優先する良き父親へと変貌を遂げていたからだ。

しかし、裁判が進むにつれ、自由を渇望するいち女性としての彼女と、最愛の息子を捨てざるを得なかった境遇に追い込まれていた不自由な母親としての彼女。当時ではまったく相反する二つの在り方に、テッドが奮闘している間、同じく彼女も引き裂かれ続け、それでも一人の自立した女性となって立ち上がってきた、そんなジョアンナを観客は知ることになる。

どちらの主張も正しく、どちらの思いも分かってしまう

見る側の心も引き裂いてくるような展開。

ラストは、ジョアンナの英断に、切な過ぎるくらいの息子への愛の深さが描かれている。

なんていい映画なんだ、と3回目にしてようやくこの映画の良さを言葉にできた気がする。