みやび

他人の顔のみやびのレビュー・感想・評価

他人の顔(1966年製作の映画)
4.6
主人公の男は事故で顔に大火傷を負い、顔を包帯でぐるぐると覆っている。
彼は顔を失うと同時に妻や社会生活での対人関係をも失ったと考え、異常なまでの猜疑心を抱くようになり、新しい顔を欲するようになる…

難解。内容の半分も理解できなかったんじゃないかな。

けど主人公が「顔」に固執する理由くらいは考察できそう。

顔の存在意義を考えてみる。

顔はアイデンティティの中核である。また、他者からの識別の役割もあると考えられる。
その顔を失ってしまえば当然、社会の中での自分の喪失や、自分自身の存在の否定に繋がってしまう。
しかし、見方を変えれば社会から完全に切り離された自由な存在だ。言い方を変えれば非常に孤独な存在。
主人公は顔を失うことで他人・社会と自分との接点を失い、自由ながらも孤独という表裏一体の状態に苦しんだことで、猜疑心の塊と化してしまったのだろう。

たかが面の皮一枚。
人はその一枚に愛を探すんだろうね。
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