事故で顔に重傷を負った男が他人の顔をつけて全くの別人になる様子を描いた作品。
年齢や性別といった個人を構成する属性の中でも顔の重要性は大きく、失う事の孤独感や疎外感は計り知れない。
アイデンティティの喪失だけでなく怪我のコンプレックスを拗らせた男が妻に執着する様子も印象的で不穏な演出も最高。
仮面に自分が乗っ取られて徐々に従来の自分から遠ざかるのは恐ろしい。
服装や装飾品などの変化は人格に影響を与えルッキズムへの鋭い視座も興味深かった。
顔の有無に関わらず人間はそもそも孤独で自分を演じる事と仮面を被る事の同一性を感じる。
原作を読んで深めたい