個展を開くことを夢見て日夜スケッチに励む美大生の”ベン”は失恋のショックで不眠症に悩まされていた。
睡眠時間が浮いた分をもてあましていた彼は、スーパーマーケットで夜勤のアルバイトを始める…。
一瞬を切り取る仕事＜カメラマン＞としてのキャリアを十分に重ねた監督だけあり、時を静止させる能力を持つ主人公がどのような展開をもたらすのか期待があったものの、物語が「ギャグ／シリアス」どちらの路線で勝負したいのか中々つかめず苦戦。
シリアスに行くかと思えばハンドルを急回転させて長々とギャグをかます。
かと思えばまたシリアスに…という展開に対して、シリアス一辺倒でメッセージ性を込めた時に発生する気まずさや気恥ずかしさをはぐらかすために、監督があえてギャグを導入しているように思うことにした。
ただ終わってみると、個性的な脇役で沸かせる物語であったり今作のメッセージとして時間の不可逆性にまで言及していたりと、これらの活躍のお陰で鑑賞中に気に障っていた部分が消えてしまった。結構楽しめた。
特段上手な映画であるとは思えないが、酷い映画ではない。
この監督にしてとても良質なテーマを選んでいるだけあって惜しい気がする。
