ネズミツオ

スタンダール・シンドロームのネズミツオのレビュー・感想・評価

4.3
アルジェント初期ジャーロを彷彿とさせる至ってマジメなサイコサスペンス。娘のアーシアを弄り倒し(まるでリカちゃん人形のように)過激なシチェエーションに叩き込むダリオ御大。まだあどけなさの残るアーシアの美しさと情緒不安定な役柄がマッチしており「中身のある」ストーリーもアルジェントは得意ですね。痛覚を刺激する暴力シーンは誰しも共感できる身近なものを描いていますが、サスペリア2のジョルダーニ殺害を想起させる角っ子の痛さ、血痕の鮮やかさ、妙な箇所に拘る細かなディティールなど古くからのファンがニンマリしてしまう画の宝庫でした。音楽にゴブリンを起用せずどうする?と思いましたが、出し惜しみなく映し出されるフィレンツェの街並みや圧巻の芸術品などを盛り立てていたのが巨匠エンニオ・モリコーネの不穏なスコア。巨大な人面魚やどこでもドア風の絵画潜りなど夢の中のふんわりとした幻想的なムードも印象に残ります。レイプ魔は『オペラ座/血の喝采』に激似だったし、90年代中期の危ういCGは『ドラキュラ3D』とほぼ同品質で安定感というか、いつものアルジェント節が垣間見られてなかなか面白かったです。2016年11月7日(月)是空のBlu-rayで鑑賞
ネズミツオ

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