ロンドンへ向かうフライトでハイジャックされてんのにCAに「3人組のなかの女性は美人だったのかい？」とか聞いて「それは好みの問題じゃないですか💢」とか冷たく返されてもビクもしない押し出し強めの二郎さん。英語の発音上手すぎで惚れ惚れだけど日本語のモノローグはだいぶ上っついてべらんめぇなキャラクター。路上で犬に吠えられて「犬！犬！犬だ！俺ゃなんてったってコイツだけはダメだ」のモノローグ。謎の犬ぎらいキャラ。犬シリーズへのオマージュ？犬は嫌いだけどドッグレースで小遣いも稼ぐ二郎さん。フードトラックで美味そうなパイ（キドニーパイかな）をパクつき店主に銀紙は食うなよ、ためてるからとか使い回しな細かいエピソード大盛りで嬉しい。ホテルのドレッサーの上には太田胃酸に浅田飴。現地の諜報機関と協力、柔道の稽古ではなぜか素人を装うけど、試合相手に「イエローモンキーめ」と言われて激怒、そいつの腕と顎を脱臼させる怒らせたら怖い二郎さん。オープンリールのレコーダーマイクに「本日は晴天なり本日は晴天なり」ロンドンで発した唯一の日本語、前のめりなスパイ活動、結構残酷なアクションシーンもあって面白い〜。かと思えば任務解かれてイギリス人諜報部員のご家庭に居候。スーツケースに唐草模様の風呂敷、アレ？って思ってたらそこんちの子供相手に米炊いて「20分は蒸らさないとおいしくならないよ」とか日本食の振る舞いスタート。もちろん全部流暢なイングリッシュで。別の日にはいきなり古漬けをカリッとイイ音させて食べたと思ったら大量の握り飯にぎりはじめるけど全部形が不細工で最高。古漬けに桃屋の搾菜に梅干し。これ日本から持ってきていたのか二郎さん。その握り飯が、工作員に拉致監禁されてる時に腰にゆわえた唐草風呂敷から出てきた時には…その米粒を顔に塗りたくって、なにするつもりだ二郎さん。オールロンドンロケで日本人は二郎さんだけ、脚本は橋本忍。二郎さん楽しい映画をありがとー！

昭和52年2月26日、この映画の宣伝のために｢8時だョ!全員集合｣に出演した田宮二郎。幼稚園の年長には異物でした。分厚いレスラー体型、黄色い帽子に半ズボン。素晴らしい。

なぜ、このような失敗作が生まれたのか。製作監督のテレンス・ドノヴァンは本作だけが監督作の二流俳優。そして橋本忍とは思えない、力の入っていない脚本。田宮も誰かの口車に載せられたのか、出資をしている。これが不幸の原因。作品がつまらないのだから、当たらなくて当然。しかも4年間も公開が見送られた。褒めようのない出来。
新宿松竹にて。