うーん、これは哀しい…
あまりにも哀し過ぎる…
その極めつけは、エンドロール途中に突然現れる。
このシーンで、その哀しみは、更に痛みに近いものへと変わる。
「それはないんと違う?」と。
主人公を含めた登場する複数の男の、女に対する独占欲、嫉妬が殺人の輪廻を生む。
そしてその結果残るのは女のみ。
同性であるが故に、男の愚かさが理解できないわけではないが、それでもどうしようもないやるせなさと虚しさを感じさせられた。
キャストは「チェーサー」でコンビを組んだハ・ジョンウとキム・ユンソクで、またまたその実力を遺憾なく発揮している。
主役のハ・ジョンウは、妻に対する疑惑と信じたいと思う間で揺れ動く憂鬱な心情を見事に表現していたのと、その憂鬱な表情から時折見せる鋭い眼光が印象に残った。
また、キム・ユンソクのそのとてつもない存在感から醸し出される無敵の強さと怖さはやはり半端ないが、何故か憎めず、むしろ好感を持ってしまうのはどうしてなのだろう?
牛骨を武器にして暴れるシーンはむしろ微笑ましささえ感じてしまう。
蛇足となるが、観終わった後に、作品が始まる前のトップメニュー画面(DVDです)に、この作品の「人物相関図」が載せられていることに気づいた。
ストーリー上での登場人物の関係がイマイチすっきりしない点があったので、これは助かった。
観る前に見るか、観た後に見るか?
これは鑑賞する人の判断だろうが、何れにしても見逃さない方が良いと思う。
作品の冒頭で「狂犬病」の話が出てくる。
まさにストーリーそのものが「狂犬病」で、男達そのものが「狂犬病」を罹った物語だった。