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殺しのドレスのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

殺しのドレス(1980年製作の映画)
4.5
マンハッタンにあるアパートの一室。シャワーを浴びている中年女性ケイト(アンジー・ディッキンソン)は、その後、夫のマイク(フレッド・ウェバー)の腕の中で歓びの声をあげた。
しかし、マイクがベッドから出ていった後の表情は決して満足したものではなかった。ケイトは時々突然たくましい男に襲われる夢を見ていた。
そして精神分析医のエリオット(マイケル・ケイン)のクリニックにかよっていた。彼女にはピーター(キース・ゴードン)という息子がいたが、彼はコンピューターに狂っており、今も科学コンクールに出品するためにその組立てに余念がなかった。
翌日、1人で街に出たケイトは、白いコートに白いハンドバッグ、白い手袋という出で立ちでまずエリオットを訪ねた。
紳士的な彼は、ケイトの夫のセックスへの不満を聞いてやり、程よい助言を与えた。それからケイトはメトロポリタン美術館へと向かった。医者の助言も彼女には効用はないとみえ、いらいらした気持ちはそのまま美術館の内部までもちこまれた。その中で彼女は1人の男の視線を感じた。
男は挑発的にケイトを誘う。彼女は誘われるままにその男とタクシーの中で情事を交わし男のアパートヘ行った。
その男の机の中の書類から、男が性病であることを知り急いでその部屋を出たケイトは、途中指輪を忘れて来たことに気づきエレベーターで戻った。が、扉が開いた瞬間、彼女は何者かに襲われナイフで惨殺された。
ちょうどエレベーターを待っていた若い女性リズ(ナンシー・アレン)は、死体を発見、犯人らしいブロンドの女性を目撃した。
刑事マリノ(デニス・フランツ)の取り調べを受けるリズ。娼婦であるリズにマリノは冷たい。
一方、犯人はリズを狙いはじめていた。地下鉄の中で間一髪、犯人に殺されるところをケイトの息子ピーターに助けられるリズ。犯人は性的倒錯者だっためだ。
女の心を持った男…。自分の中の男を刺激する対称、つまりケイトのようなセクシーな女は彼の中の女の部分が邪魔とする存在だったのだ。果たして犯人は、何者なのか?
サスペンスの匠ブライアン・デ・パルマが、ヒッチコックの「サイコ」にオマージュを捧げた衝撃のセクシャルサスペンス映画。
ケイトが自らの身体を愛撫するセクシーなシャワーシーンから謎の男に襲われるサスペンスシーンへ、リズのセクシーなシャワーシーンから犯人に襲われるサスペンスシーンへという見事な転調、自分に熱い視線を送る男とケイトの美術館での追いつ追われつの移動劇、リズと犯人の地下鉄の中での追跡劇の、長回しや光や鏡を生かしたスリリングなサスペンス描写。エレベーターの中で、犯人にケイトがカミソリで切り裂かれる血まみれな残酷美に満ちた惨劇シーン。
犯人探しのミステリーとしては物足りないけど、残酷でセクシャルで美しくフェティッシュな美意識に彩られた惨劇と悪夢的なストーリーに惹きつけられるセクシャルサスペンス映画。
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