脚本が湯浅監督ではないので、子供っぽさはないものの、今一つ盛り上がらないストーリーの作品。
元々「軟体動物シリーズ」で人気が出た渥美のために、明るさのあるキャラを見せることを目的として作られたのもなので、その目的は達成されていると言っていいだろう。
ただ、そのキャラが魅力的でないのと、つるんでいる3人の男性の仲間も全員影が薄くて、結果としてストーリーも平坦になってしまっている。
キャラとして美味しかったのが百窓ビルに住む性犯罪者。
オーバーアクトで怪しげでサイボーグを作っている性犯罪者って言う凄いキャラだが、あまり活躍しないまま退場というのは惜しい。
あのあとヒロインのサイボーグが本人と入れ替わり、犯罪者も巻き込んでドタバタの大騒動とかなれば、もっとコメディとして面白くなったのに残念。
まぁ、当時人気のお色気女優渥美マリを愛でるための作品なので、この程度の方が親しみやすいのかもしれない。
見所は多く出てくる昭和の街並みと、インパクト大の百窓ビルだろう。
個人的にヒロインが務めているバーに置いてあった灰皿が超懐かしかった。
若かりし頃六本木の喫茶店でバイトをしていた時に使っていたものと同じ。たしか未来と書いて「みき」という読みだったような気がする。交差点のマックの二階にあったなぁ・・・・・
余談。
昭和生まれの人なら、どこかで見たことがあるはずの百窓ビル。
私はウルトラセブンで出てきたシーンを鮮明に覚えている。
見たことはあったのだが、あのビルは何なんだ?と興味が湧いてしまいちょっと調べてみた。
『東京都世田谷区岡本に1965年に建てられ20年後には取壊された。「百窓」「百目」は俗称で,正式な名前があります。正式名称は「起爆空間」または「試みられた起爆空間」と言います。
設計者は建築家の富田玲子氏と都市計画家の林泰義氏のご夫婦です。
では,これは2人の家かというと違います。
この家の施主はある社長とも,芸術家とも言われています。とにかく,個人宅なんです。』
その奇抜な外観からいろいろなTV番組や映画で使われたという事です。
「怪獣ブースカ」「コメットさん」「光速エスパー」「人造人間キカイダー」「電人ザボーガー」「マグマ大使」「社長繁盛記」「日本一のワルノリ男」「泣いてたまるか」などなど・・・
でも、データに今作の名は無かったな。ほかにもいっぱいありそうな気がする。
今作でもそうだが、建物の中はすべてセットで撮られたようで、実際の百窓ビルの中の資料はほとんどないそうだ。
それにしても、ビルのインパクトも凄いが、これを立てた施主が一般人の社長or芸術家ってのが驚きだ。
どんな人だったのかすごい興味が湧いたが、今では不明というのが残念。