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エース・ベンチュラの都部のレビュー・感想・評価

エース・ベンチュラ(1994年製作の映画)
3.3
ジム・キャリーを『マスク』の主演抜擢に繋げた出世作として知られる本作は、その前評判通りにジム・キャリーのコメディアンとしての真価が猛烈なまでに発揮された作品である──天井知らずの高揚感を全身で表現するジム・キャリー節の効いた演技は、ペット探偵エースベンチュラの魅力を幾重にも肉付けしていき、卑近な存在でありながら奇想天外な行動を引き起こす語り部として物語を力強く牽引していく姿は見物。

反してそのストーリーは馬鹿馬鹿しいツイストには恵まれているものの、その構造を解体すると月並みなストーリーラインに他ならず、あくまでエース・ベンチュラの強烈なキャラクターを引き立てる為のスパイス程度にしか存在していないというのが映画としての実態だ。
それは作中で用いられるジョークも彼頼りになっていることと同義で、ペット探偵という設定を十二分に活かしたシークエンスは数える程しかないのは残念だった。ミステリー仕立てのコメディとしてその真相は百点満点なのかもしれないが、笑える/笑えないの境界線が主演の癖によりはっきりとした映画という意味では中々万人向けとも言い難いのは事実だろう。
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