垂直落下式サミング

炎上の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

炎上(1958年製作の映画)
2.8
燃えろ!いいお寺!
繊細な青年が心を病んで、親を泣かせ、師に恥をかかせ、友達とも上手く付き合えず、そこらをふらふらしているうちにどうにもならなくなって国宝に放火するおはなし。
もとが三島なので昭和のインテリ特有のナルシスティックな匂いが漂う。どんどん主人公を追い込んでいく画面構成、雷蔵の吃音演技などはお見事だが、こいつ最初から真面目で優秀だけど…というやつに見えなくて、母親が嘆くようにただのろくでなしで甘ったれのバカ息子に見てえしまった。
主人公の雷蔵は吃音の他にも色々な面でトロイ奴に描かれていおり、その劣等感がつのった末の犯行ということなんだろうが、文芸も映像になると見も蓋もない一元的な解釈になってしまう。原作厨すぎてごめんなさい。それでも許すのが仏でしょう?