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ブレイブハートのtakのレビュー・感想・評価

ブレイブハート(1995年製作の映画)
4.1
1980年代の話。僕のいた高校にオーストラリアからの留学生がやって来た。キャシー・ベイツみたいなぽっちゃりした女子。英語の先生が授業に連れて来た。「何か英語で質問をしろ」とあおるから、みんな思いつくままに質問をした。生活や自然やオーソドックスな質問が続く。先生は次に僕に当てるつもりだ。えーと…どーしよ。

順番が回ってきて、僕は彼女に尋ねた。
😉「Do you like Mel Gibson ?」
先生はキョトンとしている。せんせー、俺がオーストラリア🇦🇺と聞いたら、オリビア・ニュートンジョンか、近頃「マッドマックス」で名前を聞いたメル・ギブソンくらいしか思いつかないもん。先生が俺に当てるからだぞ。もぉー、場の空気どうすんだよ。するとキャシー女子は、
🤩「Yes! Yes! 」
とちょっと興奮気味に。「あなたもメルの映画好きなの?」逆質問が飛んできた💦。映画の話題って世界をつないでくれるのねw

映画館の暗闇でこのエピソードを思い出した作品がある。メル・ギブソン監督主演の大作「ブレイブハート」だ。スコットランドの実在の英雄ウィリアム・ウォレスを演じ、作品賞などオスカーも獲得した秀作。

ソフィー・マルソー演ずるフランスから嫁いできた王妃イザベルがウォレスとの交渉に遣わされる。イザベルがウォレスの事を話す中で
「あの目が、あの目がいけないのよ」
とウォレスに人間的に惹かれていることを打ち明ける場面が出てくる。オーストラリアから来た彼女も、そんなふうに思っていたのかもな。

メル・ギブソン監督作は最初の「顔のない天使」を除いて激しくて荒々しい場面が多い。本作も然りで弓矢が飛び交う、棍棒と拳を振う13世紀の戦争が生々しく描かれる。雨のように降り注いでくる弓矢。盾で防ぎきれずに皮膚に突き刺ささり、流れる血。戦場を描いた映画であまりの臨場感に椅子にしがみついたのは、「プライベート・ライアン」以前なら間違いなくこの映画だ。英雄物語は決してカッコいいものじゃない。血生臭くて、泥にまみれた荒々しいものだ。英雄譚を美談にしないストレートな映像が心に残った。「フリーダム!」と叫ぶラスト。ソフィーの頬を伝う涙の美しさも忘れ難い。

これを観た頃、映画館にあまり通えなかったっけ。でもメル・ギブソンなら!ソフィー・マルソーなら!と劇場へ(もちろん後者がお目当てなのは言うまでもないw)。激しい戦闘シーンと主人公の信念を貫く勇敢さにやたら興奮させられたのを覚えている。
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