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現代性犯罪絶叫篇 理由なき暴行の一のレビュー・感想・評価

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傑作。1969年の新宿、どこにも行けない何にもできない田舎者ノンポリ童貞3人組。言うこともやることも最低でどうしようもないのだが、それでも順番にこの世とおさらばしていく彼らは哀しい。「社会に殺された」という死の理由付けは戯言のようでも切実で、目の前にたまたま降ってきた拳銃を警官に向け発砲しないではいられない青年の最期の姿には、ロブ・ゾンビ『デビルズ・リジェクト』のエンディングを観るときのような気持ちになる。“網走番外地”使いが最高。

2021/2/6
『真昼の惨劇』野村企鋒
実際に起こった父親殺しの事件が題材。上野あたり?のバタヤ部落が舞台で、千住のお化け煙突が見える。貧困&酒乱DV男をネオレアリズモタッチでゲッソリ描く。妻役はもちろん望月優子である。いよいよという親殺しのシーンの演出も冴えていて、酔っぱらって眠る父親の顔を無表情で見つめ続ける姉妹の鬼気迫る佇まいに息を飲む。そして殺しそのものは見せずに、後ずさりでバラック小屋から出てくる姉妹二人。突如鳴るサイレンをきっかけに駆け出し、こちらへ走ってきた姉妹のアップから弟が遊ぶ滑り台へのパンが地味にキマっていた。左卜全や浜村純や武智豊子はじめ部落の人々もハマってます。
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