燕鷲

新宿黒社会 チャイナ・マフィア戦争の燕鷲のレビュー・感想・評価

4.0
三池崇史という映画監督は“見せずにはいられない人間”なんだなあ、と。改めて。

台本に記されたことを、余すところなく全て映像化しなければ気が済まないタイプというか。

セックス、ドラッグ、バイオレンスは勿論、男色の描写や人糞を踏ん付けるくだりでさえも、撮るべきものであれば、どんなに安っぽい演出を使ってでも撮ってしまおうという姿勢が凄い。
それが脚本家への礼儀だと思っているのか、観客へのサービス精神によるものなのかは分からないけれど、どの映像表現にも「見せよう」という確かな意志が感じられて好感が持てる。
真骨頂である猥雑さを描く一方で、残留孤児二世として生きる者たちのペーソスや、日本統治時代の影が残る台湾の風景、臓器売買の闇などもキッチリ描けているから素晴らしい。

劇場デビュー作品でこれだけやってのけたんだもんなあ。後に「日本で一番忙しい映画監督」と呼ばれるようになるのも頷けるよ。
燕鷲

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