よーだ育休中

バイオハザードのよーだ育休中のレビュー・感想・評価

バイオハザード(2002年製作の映画)
3.0
ゾンビ映画の金字塔。日本発の人気ゲームシリーズを原案に、英米合作で実写映画化。

米国最大の民間企業・アンブレラ社は、バイオ科学の軍事転用を秘密裏に行なっていた。ラクーンシティの地下深くに建造された巨大な研究施設《ハイブ》で保管されていたT-ウィルスが施設内に漏洩。世界を巻き込む災厄の序章が幕を開ける。


◆ザ・お化け屋敷ムービー!

クリーチャーのビジュアルもさることながら、本作は唐突な音と動きでびっくりさせてくる王道のお化け屋敷ムービー。

薄暗く、散乱した研究施設。そこかしこに残る血痕。BGMが小さくなり、“くるぞくるぞ…!”と視聴者を煽って煽ってドーン!!

ゾンビが出てくるってわかってるのに、中々出してこない焦らしプレイ。仲間がふざけて脅かしてきただけなのにまんまとビクッとしてしまう。悔しい…。

主人公のAlice(Milla Jovovich)が薬品の後遺症で一時的に記憶を失くしている設定も効いている。特殊工作員として半覚醒し、戸惑いながらもゾンビ犬を蹴り倒すシーンは印象的。


◆感染者としてのゾンビ

脳内に残った微弱電流に強烈な刺激を与えて生ける屍を作り出すウィルス。理性までは戻らない(=脳の機能は回復しない)ため、最大の欲求(=食欲)に従って徘徊する。うーん、無理がある笑

ここ最近トレンドのゾンビの脅威といえば、
●鼠算式に増えていく、圧倒的な物量
●一度噛まれただけで即退場
前クールの連ドラ、《君と世界が終わる日に》でも、ゾンビウィルスにより荒廃した世界での人間模様が描かれていた。《屍人荘の殺人》では、一つの舞台装置として昇華していた。

そんな創作系ゾンビ作品が次々と生み出される中、今作のメインキャラ達はゾンビ不知。そのため、《ホラー作品のモンスター》としての純度が高いゾンビが活き活き(?)と描かれている。

●不死性(途中で攻略法を教わる)
●味方や親族がゾンビ化して現れる

限られた物資を頼りに、フィールドに設置されたエネミーを回避して生還を目指すと言うもの。リアル戦慄迷宮状態。シリーズの中でも純粋にゾンビが怖い唯一の作品じゃなかろうか。

Michelle Rodriguez扮する特殊部隊のRainがこれでもかってくらい齧られてるのに、ワクチンうてばワンチャンある!みたいな空気感が逆に新鮮だった。


◆レッドクイーンの不遇さ

①ハイブでバイオハザードが発生
②AIの判断で施設を閉鎖・隔離
③暴走したとして強制シャットダウン

《人類を救うために人間を殺す》という二律背反を、合理的に判断して遂行できるレッドクイーンは超優秀なAIだと思う。

自身の身を守る為には躊躇いなく工作員達をバラバラにしてしまう所も、エンタメ性抜群。元祖トラウマ・サイコロステーキ先輩…。

職員を速攻皆殺しにしたのは、ゾンビに食い殺されるよりも皆殺しにした方が無用な恐怖を与えないで済むという人道的配慮なのか。
外部へ連絡される事を防ぐという超合理的判断だったのか。

どっちにしろ、バイオ科学方面の研究は不要なんじゃないかと思うくらいにIT技術が発達している。荒稼ぎしたいのなら、軍事産業に手を出さなくても、高性能AI一本で十分世界のトップねらえたんじゃないっすかね、アンブレラさん。