針

機動戦士ガンダムの針のレビュー・感想・評価

機動戦士ガンダム(1981年製作の映画)
3.8
約9年ぶりの再視聴。ちなみに自分はTV版ファースト・ガンダムを通しで観てないニワカです!

こちらはTV版の最初の3分の1を再構成した総集編。改めて見ると、必要最低限のエピソードと見せ場とガンダム語録を繋げてなんとかいっぺんに仕立てた感じ。でも「ガンダム大地に立つ!」はしっかりみっちりやってたりしてけっこういいよね。

今回は、今まで何とも思ってなかったガルマ・ザビというキャラクターがけっこういいんだなーという発見がありました。分からないけど、おそらく彼ってすごく育ちがよくて裏表のない好青年なんだろうと思う。それゆえ占領地の指導者の娘であるイセリナとのあまりにも通俗的な恋愛が美しく成立していて、その反射でシャアというキャラの陰と歪みがひどく映える……。すごく効果的なメロドラマの使い方って感じがしました。

あとはアムロの変化の描き方ですねー。最初は戦争にひどく懐疑的でぶつくさ文句を言いながら戦っていたアムロも、いつのまにか戦争に取り込まれている。占領地で母親と再会するも、戦争という状況に対する考え方が絶望的なまでに乖離していて、互いに相手を受け入れられない。その後、自然な流れでジオンの基地を空爆していくアムロ……。
ーーという過程をダイジェストながらも時間と状況をきちんと変化させながら描いていて、個人的にはかなり痺れました。
この作品に限らないけど、面白いドラマが作れる人はやっぱりすごいと思います……。

(初視聴は2013年ごろ)
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