このレビューはネタバレを含みます
ツイッターで自分の好きな映画10本…とかいうタグを見かけて、わたしだったらどれかなーと考えていたときに、絶対外せない作品としていちばん最初に思い浮かんだのがこれだった。
紛れもなくホラーであり、サスペンスであり、ミステリーでもあるんだけど、そのテンションをぶち壊すような不思議なコメディ要素が散りばめられていて、うんと若い頃に初めて見たときには「このおふざけシーン、いるのかな…」とイライラしたりしていたけれど、今になってみると本当に緩急の付け方が天才としか思えない。ちょうどよく肩の力を抜ききったときに、静かに狂った場面をチラ見せしてくるから倍怖い。
これほど血液の色が鮮やかな映画を他に知らないし、その「赤=血」の刷り込みがあるからこそ、あの壁の一部が剥がれてその下に見えたほんの少しの赤い色があれほどまでに禍々しく全身を総毛立たせるんだと思う。
映っていたのに見ていなかったもの、今まさにここにあるはずなのにどれなのかがわからないもの、カメラをあと5センチ動かしてくれれば見えるはずのもの。この作品のカメラワークを全部分析して絵コンテ集とか作ったらものすごく勉強になりそう。
タイトルではパート2だけど実はなにも関係のない、ローマかどこかのバレエ学校が舞台の「サスペリア」もとても好き。