三四郎

塵に咲く花の三四郎のレビュー・感想・評価

塵に咲く花(1941年製作の映画)
4.2
なんて綺麗なカラー映画。青や水色のドレスが印象的。
アジア・太平洋戦争勃発時に、アメリカではこんなに華やかなカラー映画が撮られていたとはね…。

物語も実にMGMらしい優しき善良なお涙頂戴もの。グリア・ガースンの映画はいつも目頭が熱くなる。トニーとの別れ際、
「泣いちゃダメだよね?」「そうよ。泣かないでね」
もう私は目に涙をいっぱい溜めてしまった。
やはり彼女は演技力があるのだろう。
わざとらしいお涙頂戴ものになっていない。これぞ流れる映画。素敵な物語。実話を元にしている佳作。

テキサス男は無法者なのか。西部男は洗練されていないところが田舎者かつ男らしくて上流階級の淑女たちを惚れさせるのに充分なのだろう。
アメリカ文化の東西南北の違いは非常に興味深い。
「婚約指輪ならすぐに外したほうが」「なぜ?」「キミの相手は僕だから」キザだねー!大好きだねこのシーン!
手紙のやり取りのみで二人の愛の深まり、時間の経過を表し、結婚記念の花束で年月の経過を表す。巧みなスマートな演出。
彼女はもうすでに30代後半だが、その高貴さは画面いっぱいに溢れている。
そして恐らく、歳による肌のハリの有無を隠す為に、また女優を美しくキャメラの枠に収める為に、彼女の顔のクロースアップでは、画質が淡くなっている。もちろん、感動的な潤いのある演出効果も狙っているのだろうが、この配慮と演出がMGMらしい。ホントに女優を美しく撮る手法をMGMは心得ている。そして、出演者が着ている衣装も家の造りも、もう全てが豪華豪華。お金をかけて最良のものを観客に見せてくれている。
ディゾルブ?オーバーラップ?募金のシーンの演出は見事。わかりやすい流れがあって良い。

マーヴィン・ルロイ監督の作品だから期待して見たが、その期待に見事応えてくれた。
最近、戦時中の日本映画ばかり見ていたから、余計に圧倒されてしまった笑
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