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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカのtorumanのレビュー・感想・評価

4.5
昔々アメリカでは…。

少年ギャングのヌードルス(ロバート・デ・ニーロ)とマックス(ジェームズ・ウッズ)を中心とする5人の少年達と女優志望のデボラ(少女時代はジェニファー・コネリー)の1920年から40年に渡る愛と友情と裏切りを描いた200分を超える暗黒街のドラマです。
監督はマカロニウェスタンの巨匠、セルジオ・レオーネです。

時系列をバラバラにした編集が秀逸で、身をえぐるような暴力描写とノスタルジー溢れる優しい描写がコラージュされ、映画ならではの興奮を呼び起こします。
また、謎解きミステリーの面白さや、多くの伏線により解釈の余白が出来ることで、内容をより芳醇なものにしてくれています。
今もファンの間では、様々な解釈が論じられています。

この作品は、マフィアが題材でゴッドファーザーを彷彿させますが、あの作品には無いヌードルズ達の少年時代の甘酸っぱくもキラキラしたエピソードが満載です。
セピア色の映像はエピソード達をよりノスタルジックにあやどります。
古き良き時代から新しい時代へ…
時の移ろいの残酷さや哀しさのコントラストが明確になり、より胸に迫る作品になっています。
さらにエンニオ・モリコーネのスコアが挿入されることで、落涙しそうな素晴らしいシーンを完成させています。

今回のデ・ニーロは静かな演技で、激情的なジェームズ・ウッズの演技の受けに徹しています。
これが結果として、とても余韻のある演技になっています。
エキセントリックなデ・ニーロより、この作品での演技の方が印象的なほどです。
ラストのデ・ニーロの"謎の微笑み"が、この映画を永遠の名作にしてくれています。

長尺作品ですが何度も観かえす事で発見があります。
時間のある時にじっくりと鑑賞したい作品です。
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