TakayukiMonji

新ドイツ零年のTakayukiMonjiのレビュー・感想・評価

新ドイツ零年(1991年製作の映画)
3.9
ゴダールマラソン。91年作。

ベルリンの壁崩壊後、新ドイツ零年を描く。
最も印象的な言葉、”人生における龍(ドラゴン)について”と語られるドラゴンのこと。
ドイツの歴史とこれから。社会主義の崩壊を象徴するベルリンの壁崩壊。その事実は、かつて共産主義、毛沢東主義に傾倒していたゴダールにとっては、大きな出来事だったと思われる。ちょうどこの後、観たゴダールのドキュメンタリーに寄ると、彼の祖父母が独支持よりの団体にいたということが、幼い彼の中でもコンプレックスになっていたという。
なので、ドイツ(ナチス)と社会主義の崩壊というテーマはゴダールにとって、ホットなテーマだったと思われる。
既に政治映画からは解き放たれていたゴダールだが、東西統一による資本主義化に対して、ヒロシマやナチスを引き合いにして、警鐘を鳴らすような後半のシーンが印象的。
また、車と馬の対比を表すようなシーンが東西の格差を表しているようでこちらも記憶に残った。

クラシック名曲たちと共に、壮大に見えるドイツの風景が重ねられて、文学的引用も多用されている。この頃のドイツの記憶、ゴダールの記憶。というような作品。
結構好きだった。
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