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ひめゆりの塔のmhのレビュー・感想・評価

ひめゆりの塔(1995年製作の映画)
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友だちが次々に死んでいく。それを受け入れざるを得なかった状況がよく描かれていて、これまでみたひめゆりの塔を題材にした映画のなかでいちばんリアルなんじゃないかと思った。
ショックはショックなんだけど、立て続けだし、やることいっぱいあってこっちも大変なので、悼んでる暇がない。これが戦争中における市民のメンタリティなんだろう。
投降を選択するラストが新鮮だけど、こっちが史実通りなんだろうね。
投降しようとしたら日本兵に射殺や、吉永小百合版のラストもすごかったけど、よく考えたらエンタメ的な盛り上がりはいらん題材なんだよね。
お色気、恋愛を完全に取り除いてるのが地味にすごい。
キャベツでバレーとか、二段ベットの下に糞尿の雨漏りとか、1953年版でも見たプロットだったんだけど、このあたりは水木洋子の取材力のたまものか。
ヘイトを集める人物が一過性だったのもすごいリアル。その場限りのクレーマーを眉を潜めてやり過ごす。いまとは何ら変わらないやりとりを行っていた。われわれは小さな譲歩を繰り返して生きていくものなんだろう。その先に死が待っていることがわかっていても。
沢口靖子と後藤久美子のメイクとヘアメイクがちゃんとしてるのが、周りから浮いててもったいなかった。
面白かった。
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