まぬままおま

華氏451のまぬままおまのレビュー・感想・評価

華氏451(1966年製作の映画)
3.5
NHKの番組「100分de名著」で原作が紹介されていたので鑑賞。

監督がフランソワ・トリュフォーであるから期待していたが、なんかなー。
1966年公開当時は近未来であったのだろうけど、80年代も超えられていないのでは?と思ってしまった。

違和感を感じた部分をいくつかあげる。

◎シーンの多くが昼間
その当時の照明の限界かどうか分からないが、昼間のシーンが多すぎる。
せっかく本を燃やす世界のだから火が映える夜のシーンが多くてもよいのではと思った。
またクラリスと出会うシーンも月光に照らされる夜道であってほしかった。だってクラリスの名前はclarityからきているのを「100分de名著」で知ったから。

◎モンターグが本を読む動機
これが希薄だなと。原作読んでたから理解はできたけど、映画だけ観てたら分からないと思う。
モンターグが本を読む動機は妻リンダとの当たり障りのない生活への不満とそれをクラリスに幸せかと問われ、逡巡したから。しかしリンダと愛し合っているシーンが挿入されることでその不満が薄れている。リンダも睡眠薬を飲まないと眠れないほど精神不安であるという設定なんだけど、なんか元気だしそこも違和感。

他にもなんか消防局の資料は紙類が多いし、モンターグを探している空中偵察隊は雑だしなんかなー。

ただ原作になかったモノレールやクラリスが教師である設定、教育のシーンはなるほどと思った。しかしモノレールについては、瞬時に近未来を表現できてていいのだが、降りた場所が草花が生えている田舎で笑ってしまった。クラリスが教師の設定は、クラリスがモンターグを啓蒙する役割であることを見事に描いている。

本が内包する知識が破壊されている現在において観ておくべき作品ではあると思う。