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ベティの小さな秘密のodyssのレビュー・感想・評価

ベティの小さな秘密(2006年製作の映画)
3.8
【フランス映画の味わい】

主演の女の子がかわいいだけでなく、ひどく大人びているところが、この映画の見どころでしょうか。

彼女を囲む家族の事情や(父の職業の関係で)おかれた環境のせいであることは作品を見ていけば分かるようにはなっているのですが、それにしてもこのくらいの年齢でこんなセリフを言うとは、と感心してしまいます。実はヒロインのそんな性格がないと、この映画は成立しないようにできているのですね。

全体の構成は非常にたくみです。最初に姉と一緒にこっそり訪れるお城ふうの空き家。その後出てこないしそのままになるのかと思っていたら、最後にちゃんと出てきて締めくくりに使われています。転校生も、一見すると孤立している同士で仲良くなれるのかと思ったら・・・・・という具合だし、母の動向だとか、犬のエピソード、そしてもちろん彼女がかくまった若者も、ヒロインがしだいしだいに追いつめられて一つの行動をとらざるを得なくなるように設定されています。途中の伏線とそこから出て来る結果がこれほど巧妙に配置されている映画はそうそうはないと言えるでしょう。

最後はどうなるか、はらはらしましたが、やや安易というか、拍子抜けの感があったのが惜しいところ。しかし全体の出来は見事。アメリカ映画じゃなかなかこういう味は出せないな、フランス映画ならではかな、と感心しました。
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