菩薩

小間使の日記の菩薩のレビュー・感想・評価

小間使の日記(1963年製作の映画)
4.2
パリで公爵夫人のお付きをしていたジャンヌ・モローが、都会に嫌気がさし片田舎の中産階級の屋敷の小間使いになる。そこは生産性もなく、閉塞的かつ独善的な空間、口うるさい女主人に、性欲過多の夫、強烈なフェティシズムを持つ夫人の父親がおり、下男もなにやら変わった男。隣家には退役大尉、石を投げ入れたり、悪口を言ったりと仲が悪い。

ある日屋敷の老人が突然死去、同じ日に森で強姦殺人が起きる。そこでの生活に嫌気がさしていたモローだったが、屋敷に引き返し、少女殺しの犯人を暴いていくと言うお話。


おそらくは、境界をまたぎそこに訪れた侵入者が、その閉塞的空間に張り巡らされていた様々な境界を行ききしながら破壊し、取り払っていく映画なんだと思います。と考えると、シュルレアリスムという超現実的芸術運動に身を捧げていたブニュエルらしい作品になるのだと思いますが、ストーリー自体はシンプルなので幾分分かりやすく、ジャンヌ・モローの美しさと頽廃的な雰囲気が作品にマッチしていて、特に頭を使わずとも楽しむ事ができました。

ブルジョワ批判や、宗教批判、少女の肢体を這うカタツムリなど、らしさを感じるシーンが沢山見受けられ、結局はその空間に閉じ込められてしまうモローの退屈な表情はなんとも言えない憂いに満ちていました。