あかつか

グリマーマンのあかつかのレビュー・感想・評価

グリマーマン(1996年製作の映画)
3.0
私の中での勝手な括りで言うと、中期セガールの中の佳作。相変わらず、「丸腰でマシンガンに囲まれたとしても、どうせフルボッコにしてやっつけるんでしょ?」という安心感。

ニューヨーク市警からロス市警にやってきたセガール。過去が謎なキャラ。新しい相棒に「ここはニューヨークとは違うぜ」と言われるのはバディあるある。

さて巷では殺人事件が多発していてLAPDも大忙し。しかも被害者が磔にされて壁には血のイラストが描かれているという、絵に描いたような猟奇殺人。誤解を恐れずに言えば、セガール版『セブン』。ただし、開始10分くらいまでは。

今回のセガールは、ドラゴンが500頭くらい描かれた衣装で登場。数珠をジャラジャラと首から下げて、「心」とか「魂」とか「仏教徒だから…」とか「孫子曰く…」を多用して不思議系アピール。

謎多きセガール刑事は、かつてCIA時代に「グリマーマン」として知られ、その姿を見た者は全員あの世逝きだったそう。ところが刑事になってからもそのクセが抜けきらないのか、重要参考人(というか容疑者)を射殺しちゃう。なぜ脚を撃ったり肩を撃ったりできないのか。その一方でヒットマンはあっさり逃がしちゃう。いろいろと講釈を垂れるわりには本当にツメが甘い。セガールの勝手気ままな行動のおかげで相棒は何度も殺されかけるし。それでいてラストは軽快な音楽でエンドロール。事件解決というか全員殺しただけなのに、よく笑顔で締められるな。つまりいつものセガール。

大火事にみまわれて黒焦げになった相棒の家を見て、「インテリア黒すぎじゃね?」というセガール刑事のセリフで不覚にも笑った。このへんの軽口もまた、いつものセガール。

ハリウッド映画のFBIはやたら偉そうにしていて、CIAはやけにキモいと相場は決まっているが、本作のCIAも相当キモい。なぜ中年太りのオッサン2人がプールで泳ぎながら密談するのか。別に水泳が趣味なのはよいとして、石原裕次郎並みにデカいグラスに入ってるのカルーア・ミルクか?ホワイトルシアンか?そもそもCIAってサイコパス製造所なのか?

ほかにもツッコミどころが山ほどあるのだが、あーだこーだ言いながら見て楽しむのがセガール映画の正しい見方だと思っている。

予定外だったのは、新相棒の黒人刑事。デカい身体のわりにはアレルギーもちでクシャミ連発。おまけに『カサブランカ』で号泣しちゃう可愛いヤツ。ウィル・スミスの下位互換かと思ったけど、コメディアンで監督や脚本も手掛けている俳優一家だそうな。1.0加点!
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