皿鉢小鉢てんりしんり

いつかギラギラする日の皿鉢小鉢てんりしんりのレビュー・感想・評価

いつかギラギラする日(1992年製作の映画)
3.7
2億のアテが5000万。札束をボンボン置く音のリズムに合わせ、金を分ける手のクローズアップを挟み込む軽快なテンポの中、こっそりと銃に目線を移すチンピラ。堅実なサスペンス演出からの、まさかのコトに及んだのは石橋蓮司を方だった!という意表の突き方は見事ではなかろうか。

原田芳雄は思わせぶりながら雑な見せ場しか与えられず、思わせぶる演出が完璧だっただけにちょっと落胆した。しかし観光バスに女子高生を乗せながら、死んだ運転手の代わりに操縦するチンピラと、後ろにへばりついて座席越しに銃撃する原田芳雄、そこに突っ込んでくる萩原健一のくだりはなかなか狂っている。群衆をかき分け止まって走ってまた止まってのカーチェイスは「暴走パニック大激突」の遺伝子を引き継いでいるだろう。

ただ終盤の、執拗にロックバンドのライブとカットバックするのはちょっとどうだろうか。あくまで見せ場はカーチェイスなんだから、あんまりそっちを映すとスピード感が削がれてしまうような……

若い警官に対して、その年でそんな恰好して恥ずかしくないのかと叱責する、というのを以前にも何かで確かに見たはずだが、思い出せない。今作のオマージュだったのか元ネタだったのか?