ゴリアテの憂鬱

オリーブの林をぬけてのゴリアテの憂鬱のレビュー・感想・評価

オリーブの林をぬけて(1994年製作の映画)
4.2
アッバス・キアロスタミ監督によるジグザグ道3部作の最終章。

今作は、前作『そして人生は続く』において、新婚の夫役を演じた青年の、妻役を演じた女性への恋心を知った監督が、サイドストーリー仕立てに制作した、素朴でプラトニックな青春恋愛作品。

ドキュメンタリー調で撮られた前作での現地の住民たちの映画内での発言が「実際の言葉」ではなく「用意されたセリフ」であったことをあっけらかんと開示しながらも、さらにその〝偽りの真実〟の上書きをこれまたごく自然体に作り上げる。

3部作を全て観て、すっかりキアロスタミ監督のファンになりました。

特に最後のもはや言葉さえも必要としない長回しでの演出は、本当に素晴らし過ぎました。