愉快な戦前青春女学校物語!
寄宿舎の舎監かぁ。こんなに若くて溌剌とした美人先生が1954年の木下惠介監督による『女の園』では心が無いような冷徹な舎監になってしまったのかと思うと…。
勝手な想像だけど笑
この映画のテーマは「教育に大切なのは愛情である」だろう。
清水宏監督はこの映画を作る際、1931年にドイツで製作され世界中で旋風を巻き起こした不朽の名作『制服の処女』を意識したのではないだろうか。
幾つもの共通点、類似点があるように思う。
・封建的な女学校
・厳格な院長・校長 事なかれ主義の教師たち
・主役の女生徒には母親がいない
・舎監であり、主役女生徒と向き合う美しく聡明な女教師(女生徒たちから慕われている)
共通のテーマは、主役女生徒の“先生への想い“。主役女教師の“真の教育とは何ぞや。愛情こそが大切なのだ“という意志。
主役女生徒の先生への敬慕が、『制服の処女』は同性愛へ、『信子』は母性愛へと向かっている。
自殺未遂の主役女生徒を皆で探し回るクライマックスも非常に類似している。
心配する女生徒たちに自分の進退について言った後の言葉だが、「皆さんだけはあくまでも無邪気な女学生でいなければいけませんよ」
これが来たる戦争を迎える女生徒たちへのメッセージだとしたら実に深い。
断然たる処置はわかるが、なるべくお手柔らかにと言う事なかれ主義の先生に対し、次の科白!これが教育の全てを語っている。
信子先生云はく、
「わたくしだって女学校生活はしてきました。いたずらも結構です、喧嘩も結構です。ただそれが将来、思い出となって不愉快なものであってはいけないと思うんです。女学生らしいいたずらだったら、わたくしだって笑って見ています。女として女学生として目に余るいたずらは断然いけないと思うんです」
色々真面目なことばかり書いてしまったが、この作品はコメディタッチの愉快な作品だ。「あんたたちに押しかけられたんじゃ、次は校長室に缶詰にされる」なんてのも面白いが、信子先生は芸者の代筆までやってのける!笑 いったいどんな艶な手紙なのかしらん笑
ズーズー弁だからズーさんと言われている女学生。これは佐々木康監督のあだ名だよね笑